Sympapaのスマートホーム日記

スマートなんとかはスマートじゃない方法でつくられている

Zigbee接続温湿度センサー3種とSwitchbot温湿度計 精度比較検証

Sympapaです。


建築中の新しい家では温湿度管理をして、床下や壁内の結露を防止しつつ人間が快適な湿度を保ちたいなんてことを妄想しています。
そんなワケで使用するZigbee接続の温湿度センサーを物色中ですが、床下、室内、小屋裏へ計10個以上設置したいので安価なものを探しています。
しかし、温湿度センサーは温度はともかく湿度はモノによって精度がかなり悪い模様。。。


そんなワケで前回の記事で書いたように手始めに700円くらいと安価なTuyaの"WSD500A"という温湿度センサーを買ってみたのですが、Nature Remo 3の温湿度センサーと比較したところ湿度に10%を超える差がありました。しかし、どっちが真値に近いのかはわかりません。


今回は、700円くらいで買える別のTuyaの温湿度センサーと、ちょっとお高めですが精度が高いという評判のAquraの温湿度センサー、そしてZigbee接続ではありませんがこれまた精度が高いと評判のSwitch Bot温湿度計を追加で購入して比較してみることにしました。
Espec製の校正された温湿度計とも比較して、どのモデルが一番精度が高そうかを検証していきたいと思います。

■今回比較した温湿度センサー

1) Tuya WSD500A

前回の記事で書いた最初に購入したTuyaのZigbee接続温湿度センサーです。1個購入で672円でした。
大きめですが単4電池×2本で動くので電池持ちは期待できそうです。
分解したわけではありませんが、ググって調べたところでは使用されているセンサーはSensylinkのCHT8305だそうです。
温度は±0.5℃、湿度は±3%の精度です。
ja.aliexpress.com



2) Tuya IH-K009(3個)

今回購入したTuyaのZigbee接続温湿度センサーです。1個購入の場合で690円でした。
バッテリーはCR2450です。
ググっても使用されているセンサーが判らなかったので分解してみましたが、センサー上に白いテープみたいのが貼り付けられていて型番がわかりませんでした。

テープみたいのを剥がそうとしましたが結構がっちりくっつているので諦めて蓋を閉じましたが、後でセンサーメーカーであるSensirionのページをみていたら白いテープみたいのが貼り付けされているSHT30-DIS-F, SHT31-DIS-F, SHT35-DIS-Fが似てました。貼り付けられているのはフィルタだそうです。強引に剝がさなくてよかったですが上の写真には剥がそうとした痕跡が写ってます(笑)

IH-K009の仕様上の精度は温度は±0.3℃、湿度は±3%です。
使われているのがSHT30-DIS-Fだとするとその仕様では温度は±0.2℃、湿度は±2%です。
https://ja.aliexpress.com/item/1005003187008387.htmlja.aliexpress.com


3) Aqara WSDCGQ11LM(2個)

2個まとめ買いで2760円でした。1個あたり1380円。1個だけ購入の場合は1900円前後するのでなかなかお高いですが、気圧計も内臓しています。
そして深く考えずに買ってしまいましたが、後継のWSDCGQ12LMというモデルがあるようです。違いはZigbee 3.0に対応したことかな?
バッテリーはCR2032なので電池持ち的にはネックかもしれません。
WSDCGQ11LMの仕様上の精度は温度は±0.3℃、湿度は±3%です。
分解したわけではありませんがググって調べたところでは使用されているセンサーはSensirion SHT30のようで温度は±0.3℃、湿度は±3%の精度です。
またAquraのZigbee接続デバイスZigbee規格に完全に準拠していないと言われており、実際問題、我が家で使用しているAqaraの人感センサーはルーター(ハブ)機能を持つ電球に接続している場合にその電球の元電源をオフにすると、別のルーター又はコーディネーターへ自動的に再接続してくれない場合もあるので(この場合は手動で再接続することになる)、この点を考慮する必要があります。でもAqaraのドア開閉センサーの方はそうなった事がないのでこの温湿度センサーも大丈夫かもしれません。後日検証してみます。
www.aqara.com


4) Switchbot温湿度計 meter TH-S1(参考)

Zigbee接続ではありませんが精度が高いと評判で、ディスプレイ付きのがひとつ欲しかったので購入しました。
Bluetooth接続でHome Assistantに接続することは可能です。
今回は参考として比較します。
Switchbot温湿度計の仕様によると、温度の精度は±0.2°C(0°C~65°Cにおいて)湿度の精度は±2%(25°C、10%~90%RHにおいて)です。
ググって調べたところではセンサーはSensirion SHTC3が使用されているそうで、その仕様では温度は±0.2℃、湿度は±2%です。


5) Nature Remo 3(参考)
日本に住んでいてある程度スマートホーム化を進めている人であれば、知らない人はいないであろうスマート赤外線リモコンです。
温湿度センサーも内臓されていますが使いどころは限られます(汗)
温湿度センサーの仕様は調べても見つけられず。。。
こちらも参考として比較します。


6) Espec RS-12(参考)
定期校正されており基準になりそうなので借りてきた業務用?温湿度計です。センサーは標準のRSH-1010、センサーだけで定価9,680円です。
仕様では温度 平均±0.3℃、湿度 平均±5%RH(25℃、50%RHにおいて)となっています。
センサーの寿命は1年間とされてますが、3年弱使用しているようなので怪しいかも(^^;)
でも9ヶ月前に校正業者による校正をパスしています。まぁ仕様が±5%だから校正時に5%ズレていてもギリ合格しちゃいますけど。


仕様まとめ(※使用センサーは公式情報ではない)

Tuya WSD500A Tuya IH-K009 Aqara WSDCGQ11LM Switchbot温湿度計
温度精度仕様(℃) ±0.5 ±0.3 ±0.3 ±0.2
湿度精度仕様(%) ±3 ±3 ±3 ±2
バッテリー 単4型電池×2本 CR2450 CR2032 単4型電池×2本
使用センサー Sensylink CHT8305(ネット情報) Sensirion SHT30-DIS-Fに似てる Sensirion SHT30(ネット情報) Sensirion SHTC3(ネット情報)

■温度の精度検証

全てオフセット設定による補正は無し(Espec RS-12は借りてきた状態のまま)でテストします。
温度が安定していれば6種9個のRは0.5℃以内に収まっていました。どのセンサーも十分な精度だといえると思います。
本当はもっと低温やもっと高温も検証した方が良いのでしょうが、温湿度センサーは湿度に比べると温度は遥かに正確という噂なので省略して湿度の検証に力を入れます(笑)

■湿度の精度検証の前に。。。どうやって湿度環境を作る??

正確な湿度計を求めている方は意外とたくさんいらっしゃるようで、"湿度計""校正"でググると、飽和塩水を容器に入れて安定した湿度環境を作る方法が出てきます。
塩の種類によって特定の湿度が得られるようで、塩化ナトリウムの場合は相対湿度:75%が作り出せるそうです。
食塩でやっている方も多そうですが、塩化ナトリウムの純度で2~3%くらいは変わってしまうみたいだし、塩の純度だけじゃなくて水の方も純水を用意しないと誤差が出そうですね。
それに借りて来たEspec RS-12を塩水と一緒に容器に入れるって怖い(笑)


そんなワケでググっていたらBovedaなる調湿剤をみつけたのでこれを使ってテストすることにしました。
なんか楽器やら葉巻やらハーブやら草やらの保存用としていくつかの湿度のバリエーションが用意されてます。
今回の検証では楽器用の72%RHと49%RH HA(High Absorption 高吸収 高湿度用)を使います。
Bovedaには湿度計キャリブレーション用もあるけどちょっと高いのでやめときましたが、後で見たBoveda公式ページにはそっちのが高精度な塩を使ってると書いてあってちょっと後悔・・・。75%なのでおそらく使用されているのは塩化ナトリウムだと思いますが、塩化ナトリウムの場合は作られる相対湿度への温度の影響が小さいのでキャリブレーションに使いやすいってことかもしれません。

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https://amzn.asia/d/gR7R6HAamzn.asia


そんなワケでBevodaと温湿度計を一緒にジップロックに入れて24時間以上放置してから検証することにしました。しかし、さすがに電源ケーブルが必要なNeture Remo 3は入れられないので、Neture Remo 3については後で通常室内下での相対比較をやることにします。
Bovedaが何℃の時に所定の相対湿度となるのかがわからなかったのですが、キャリブレーション用のは (65 ~ 75°Fでやれ) って書いてあったので70°F=約21.1℃狙いでいきましょう。

■湿度の精度検証

全てオフセット設定による補正は無し(Espec RS-12は借りてきた状態のまま)でテストします。
最初にBovedaの72%RHの方でテストしました。
それにしても、このBoveda 72%が作り出す相対湿度は温度の影響が結構大きいようです。18℃時と21℃時を比べるとざっくり1%くらい変化していました。Boveda 72%RHは校正向きではないかも(汗)


比較的温度が21.1℃に近く安定していた5Hrの結果を下のグラフと表に示します。それでも温度は平均20.7℃くらいになってしまいましたが。。。
72%RHが真値だとすると±3%に収まっているのは72%に近い順にTuya IH-K009(3号), Aqara WSDCGQ11LM(2号)≒Aqara WSDCGQ11LM(1号), Switchbot温湿度計,Tuya IH-K009(2号)となりました。この5個のそれぞれの平均値は69.9%~71.7%でその平均値は71.0%なので、実際の真値は71%RHくらいなのかもしれません。
Espec RS-12も平均68.9%、Tuya IH-K009(1号)も平均68.7%なので(実際の湿度は71%RHくらいかもという点も踏まえると)これらもギリ±3%に収まっていると言っても問題ないですね。Tuya WSD500Aは8%くらい低い値を示しておりこれは圏外かな。


そして2個しかないので偶然かもしれませんが、Aqara WSDCGQ11LMの2個の差が非常に小さかったのは特筆すべき点かと思います。
尚、Tuya IH-K009とAqara WSDCGQ11LMが小数点第2桁まで表示されるのに対しSwitchbot温湿度とESPEC RS-12は1%単位でしか表示されないので、その点は考慮が必要です。

上のグラフの統計

データ数 平均(%) 最小(%) 最大(%) 72%に対する平均のズレ(%) 71%に対する平均のズレ
Tuya WSD500A 10 63.3 63.1 63.5 -8.3 -7.3
Tuya IH-K009(1号) 11 68.7 68.5 68.8 -3.3 -2.3
Tuya IH-K009(2号) 11 69.9 69.8 70.0 -2.1 -1.1
Tuya IH-K009(3号) 11 71.9 71.7 72.0 -0.1 +0.9
Aqara WSDCGQ11LM(1号) 15 71.2 70.8 71.5 -0.8 +0.2
Aqara WSDCGQ11LM(2号) 16 71.2 70.8 71.6 -0.8 +0.2
Switchbot温湿度計 1 71 71 71 -1 ±0
Espec RS-12 62 68.9 68 69 -3.1 -2.1


次にBovedaの49%RH HAでテストしました。
最初Bovedaの49%RH(ノーマルタイプ)を使ったのですが何故か60%RH前後に調湿されてしまうので、49%RHHA(High Absorption 高吸収 高湿度用)を使用しました。
温度は72%RHでのテスト時と同じく21.1℃を狙いましたが、この季節(ゴールデンウイーク)は外気温が15℃~25℃くらいと21℃の下行ったり上行ったりするので調整難しいですな。。。なんとか5Hr分を拾い平均21.0℃。


49%RHが真値だとすると±3%に収まっているのは49%に近い順にTuya IH-K009(2号), Aqara WSDCGQ11LM(2号), Aqara WSDCGQ11LM(1号), Tuya IH-K009(3号),Tuya IH-K009(1号)となりました。この5個でそれぞれの平均値は46.5%~47.5%と1%以内に収まっておりその平均値は47.3%なので実際の湿度の真値は47%RHくらいなのかもしれません。
Switchbot温湿度計も(真値が47%RHくらいかもという点も踏まえると)±3%に収まっていると言っても問題ないですね。
Tuya WSD500Aが圏外なのは予想どおりとして業者公正されていて72%RHの時はまぁまぁだったEspec RS-12が圏外なのは驚きました(汗)


上のグラフの統計

データ数 平均(%) 最小(%) 最大(%) 49%に対する平均のズレ(%) 47%に対する平均のズレ
Tuya WSD500A 10 41.9 41.5 42.0 -8.1 -6.1
Tuya IH-K009(1号) 12 46.5 46.2 46.8 -2.5 -0.5
Tuya IH-K009(2号) 11 47.9 47.6 48.2 -1.1 +0.9
Tuya IH-K009(3号) 12 47.0 46.7 47.4 -2.0 ±0
Aqara WSDCGQ11LM(1号) 20 47.4 47.2 47.8 -1.6 +0.4
Aqara WSDCGQ11LM(2号) 17 47.5 46.9 48.0 -1.5 +0.5
Switchbot温湿度計 3 45.3 45 46 -3.7 -1.7
Espec RS-12 62 38.7 38 39 -10.3 -8.3


72%RHと49%RHでの両方のテスト結果を総合的にみると、Aqara WSDCGQ11LMが2個の差も少なく一番精度が高いと言えると思います。
Tuya IH-K009も優秀でしたが、72%RHでのテストにおける計測値はTuya IH-K009(3号)>Tuya IH-K009(2号)だったのに対して、49%RHでのテストではTuya IH-K009(3号)<Tuya IH-K009(2号)と逆転したので湿度領域に対する感度に個体差があるとみられ、この点は考慮が必要かもしれません。
Switchbot温湿度計も同様に優秀でしたが、49%RHのテストにおける計測値がAqara WSDCGQ11LMやTuya IH-K009と比べて低い結果となり、こちらも湿度領域に対する感度については考慮が必要かもしれません。


おまけ?ですがNature Remo 3も含めて一般室内環境下でテストした結果はこんな感じです。
Nature Remo 3はTuya IH-K009, Aqara WSDCGQ11LM, Switchbot温湿度計に対して10%近く高い値を示しました。

■レポート頻度をみてみる

ホームオートメーションで使うセンサー類は精度はもちろんですが、レポート頻度も結構重要な要素です。
例えば「温度が30℃以上になったら〇〇をする」というオートメーションを作成したとして、レポート間隔が長いと次のレポートまでトリガーされないのでタイムラグが大きくなります。
しかしレポート間隔が短ければ良いかというとレポートには通信が伴うためバッテリー消費を左右します。
そんなワケで各センサーのレポート頻度をみてみました。


Tuya WSD500A
温度は基本15分間隔でレポートしていますが、温度の変化が大きい時には臨時でレポートされその場合の間隔は5分になっているようです。

湿度は変化が大きい場合でも頑なに30分間隔でレポートされています。
グラフの一番下の青い線、一番湿度の低いグラフがWSD500Aです。


Tuya IH-K009
温度は常に5分間隔でレポートしています。

湿度は定期のレポートは30分間隔で、変化が大きい時は臨時でレポートされ変化が大きい状態が継続した場合の間隔は5分になっているようですが、かなり変化が大きくない限りは30分のようです。(紫色の線)


Aqara WSDCGQ11LM
温度、湿度ともに決まった間隔でレポートしているようにはみえません。(水色の線)
一定以上の変化があった時にレポートされているようにみえ、変化が大きい状態が継続した場合のレポート間隔は確認できた範囲では最短10秒でした。
レポート回数は3モデルの中で最も多くバッテリーは最小なので、バッテリー持ち的には不利かもしれません。
ただ、トリガーの条件を満たした際になるべく早く発動させたいオートメーションに使用するのであれば、今回の3つの中では最適なモデルといえます。


Switchbot温湿度計
あくまでもHome Assistant上でみた時の話ですが、温度、湿度ともに決まった間隔でレポートしているようにはみえませんでした。
変化が大きければ前のレポートから数秒後でもレポートしています。
ただ湿度は1℃単位の小数点無しなので基本的なレポート頻度は低いです。(グラフは省略)

■まとめ

今回比較した範囲では、Aqara WSDCGQ11LMの安定感が半端なく鉄板だと思いました。価格がちと高めですが予算が合えば買いですね。長期間使わないとわからないけどバッテリーが小さく持ちにやや不安がある点と、AqaraのデバイスZigbee規格に厳密に準拠してないらしいという噂なのがネックかなぁ。。。
Aqaraの人感センサーでは接続しているルーター(電球)の元電源をOFFにした時に別のルーターに自動接続してくれない煩わしさを何度も経験しており、温湿度計で同じ問題が起きるとなると床下や小屋裏に置いた場合は手動再接続が面倒すぎてネックになるかも。。。一方でAqaraのドア開閉センサーではその経験をしていないので、この温湿度計WSDCGQ11LMが接続しているルーターの元電源をOFFにした時にどうなるのかは今度検証してみます。


TuyaのIH-K009も精度的には十分使えるレベルでAqara WSDCGQ11LMの半額くらいで買えるのでコスパは高いと思います。


Switchbot温湿度計もTuya IH-K009と同等の精度でした。Bluetooth接続なのがややネックですがHome Assistantを動かしているラズパイ4とのBluetooth接続は1階と2階であっても安定していました。
Swichbotのシステムと連携するも良し、HomeAssistantで使うも良し、液晶ディスプレイで確認するも良しで、日本で買える安価な温湿度センサーとして万人におススメできる商品だと思いました。


あとは経日で変化しないかですよね。また1年後くらいにテストしてみたいと思います。
ってか数増えて来たら面倒すぎるから、1年毎にAqaraの新品に交換しとけってなるかもしれません(笑)
それでは。

Tuya WSD500A Tuya IH-K009 Aqara WSDCGQ11LM Switchbot温湿度計
温度精度仕様(℃) ±0.5 ±0.3 ±0.3 ±0.2
湿度精度仕様(%) ±3 ±3 ±3 ±2
バッテリー 単4型電池×2本 CR2450 CR2032 単4型電池×2本
温度レポート頻度 通常15分/変化大時5分 固定5分 変化に応じて可変最短10秒 変化に応じて可変
湿度レポート頻度 固定30分 通常30分/変化大時5分 変化に応じて可変最短10秒 変化に応じて可変
使用センサー Sensylink CHT8305(ネット情報) Sensirion SHT30-DIS-Fに似てる Sensirion SHT30(ネット情報) Sensirion SHTC3(ネット情報)
温度精度検証結果
湿度精度検証結果 ×
湿度個体差検証結果
購入時価格(円) 672 690 1380 1782