Sympapaのスマートホーム日記

スマートなんとかはスマートじゃない方法でつくられている

家を建てる計画: 電気錠(スマートロック)付玄関ドアを調査する

Sympapaです。

家を建てる計画中ですが何を重視するかが定まらず迷走中です(汗

そんな中で色々とモデルルームや建売や新築の内覧をしてきましたが、玄関ドアの電気錠はかなり一般化していてほとんどの家に電気錠付玄関ドアが採用されています。
私が現在住んでいる家も後付けスマートロック"Qrio Lock"で玄関の鍵をスマート化しているので、新しい家でも電気錠付ドアを採用したいしIoT化したいところです。
まぁ後付けの方が出来ることが多いし安価なんですけどダブルロックを2つ制御することを考えると内臓電気錠に分があります。
見た目もすっきりのがいいですよね。

そんなワケで今回は、電気錠付玄関ドアを調査したハナシです。

■最初に

私が電気錠付玄関ドアに求めることは以下の3つです。

  • リモコン等を取り出さずにボタンひとつで解錠できること。可能であればボタンすら押さなくていいハンズフリー解錠が欲しい。
  • オートロック機能があること。
  • Echonet Liteに対応していること。


色々と家を見学した結果、玄関ドアはYKK APLIXILを採用している家がほとんどだと思います。
そんなワケでこの2社の玄関ドアについて「帰宅時の解錠方法」「オートロックを含む機能」「メーカー独自のIoTシステム」「Echonet Lite対応」という4つの視点で調査しています。
※Echonet Liteは日本の住設のネットワークプロトコルです。
ざっくりとした概要は下記のとおりで、2社とも欲しい機能は網羅していそうです。

  • 2社とも帰宅時にリモコンを持った状態でドアのボタンを押すと解錠できる仕様が標準的。
  • LIXILは電気錠の仕様により、YKK APは顔認証オプションを付ければハンズフリー解錠もできる。
  • 2社ともオートロックや解錠してドアを開けなかった場合の再施錠など基本的な機能は揃っている。
  • 両者とも電池仕様と100V仕様があるが、IoTやEchonet Liteに対応させるには100Vが必須となる。
  • YKK APのIoTシステム"Mimotto"はドアや窓に特化したものでサブスク。LIXILのIoTシステム"Life Assist 2"はEchonet Lite対応の他社製品も含めた住設を統合できる。
  • 2社ともEchonet Liteにはアダプターを付ければ対応する。特定のパナソニックアイホンのスマートビデオインターホンを繋げばアダプター無しでEchonet Liteに接続可能。


それにしてもEchonet Liteを介してメーカー製のコントローラ以外のシステム(ラズパイとか)から電気錠を制御している例はググっても見つけられません。
試したところEchonet Lite家電シミュレータの電気錠ならHome Assistantから制御できているのですが、実際にはセキュリティ認証があったりして一筋縄ではいかないのでしょうか?それともEchonet Lite自体が流行っていないだけかも(笑)

YKK AP

YKK APの玄関ドアは「プロント」「ヴェナート D30」「イノベストD50」「イノベストD70」の4グレードがラインナップされていて、全て電気錠に対応しています。
www.ykkap.co.jp

YKK APはドアに関わらず電気錠とスマート化の対応は共通のようです。大別すると「ポケットキー」仕様と「ピタッとキー」仕様の2仕様があり、それぞれに顔認証システムなどのオプションを取り付けることが可能なようです。
www.ykkap.co.jp


◆帰宅時の解錠方法

「ポケットキー」仕様は「ピタットキー」仕様より上位で、「ポケットキー」仕様には「ピタットキー」仕様の解錠方法を含んでいます。

  • ポケットキー:リモコンをカバンやポケットにしまっておいてもドアのボタンを押せば解錠できます。
  • ピタットキー:タグキーみたいなのをドアにタッチすれば解錠できます。NFCタグみたいなシールのオプションもあります。
  • 顔認証(オプション):顔認証システムオプションを取り付けると顔認証によるハンズフリー解錠ができます。認証の時間はどんなもんかな?
  • スマホアプリ:Bluetooth接続により専用アプリ"スマートコントロールキー"上で操作すれば解施錠できます。


ハンズフリーで解錠できるのは顔認証システム導入時のみとなりますが、ハンズフリーじゃなくても、ポケットキーを持っていればドアのボタンを押すと解錠できるのでこれで十分な気がします。
ポケットキー仕様の場合、標準でリモコンキー×2個、タグキー×3個が付属しているそうです。
ちなみにポケットキー用のリモコン(非常用収納鍵なし)を追加で買うと27,500円もします(汗)

◆帰宅時の解錠以外の機能(各仕様共通)

  • 専用アプリでドアの設定やキーの管理ができる
  • オートロック機能(オンオフ可能)
  • タイマー施錠機能(25秒、50秒に設定可能)
  • リモコンのスリープ機能:リモコンが静止しているとスリープしドア外側のボタンで解錠できなくなる。
  • 置き忘れ防止機能:玄関付近にリモコンが放置されていることを警告する機能。

我が家では現在は玄関の下駄箱に鍵を保管しているのですが、電気錠付ドアを採用するとドア外側のボタンで解錠できてしまうので保管場所を玄関から距離のある場所に変えなくてはいけませんね。
でも一応、リモコンのスリープ機能によってリモコンを静置している間は無効化されるようになっているようです。

◆独自のIoT対応

YKK AP独自のIoTシステムとして"Mimotto(ミモット)"があります。
webcatalog.ykkap.co.jp

専用のインターフェースユニットを導入しサブスク契約することで、同社の玄関ドアの電気錠、窓のクレセント錠、勝手口の鍵をIoT化できます。(窓と勝手口はオプションのセンサー要)


出来ることは以下のとおりでドアと窓に特化したものです。

  • アプリで解施錠状態を確認。
  • 玄関ドアの解錠通知。
  • GPSにより家から一定距離離れたところで解錠されていると通知。

調べてもこのサービスで「玄関ドアを遠隔で解施錠できる」と書かれていないのですが通知するだけ???
そしてAlexaには対応していますがGoogle Homeには対応していません。


Mimotto用インターフェースユニットの定価は52800円。サブスクは500円/月です。
窓のクレセントセンサーでさえ24,200円もします。
更に玄関ドアの操作盤付ユニットがMimotto対応のYS-KAG B7でなくてはいけません。標準の操作盤付ユニットYS-KAG B3(HAコネクタ、増設操作盤コネクタ)の定価が15,000円であるのに対しMimotto対応のYS-KAG B7は定価が42,000円で差額27,000円です。
半額で見積もっても”Mimotto”を導入するにはイニシャルで40,000円上乗せ、更に500円/月のサブスク、そして同社のドアと窓にのみ対応というなかなかコスパの低いシステムとなっています。

◆Echonet Lite対応

当然ながらEchonet Liteに対応しています。
www.ykkap.co.jp


操作盤付ユニットYS-KAG B3(HAコネクタ、増設操作盤コネクタ)あるいはその上位機種であるYS-KAG B4,YS-KAG B7と、IP/JEM-A変換アダプター又は特定のパナソニックアイホンのスマートビデオインターホンの導入が必要です。
YS-KAG B3の定価が15,000円、パナソニックのIP/JEM-A変換アダプターHF-JA2-Wが定価¥35,200。

LIXIL

LIXILは電気錠のラインナップが4種類あります。「FamiLock」「システムキー」「タッチキー」「カザスプラス」です。
なんだか4つもあってややこしそうですが、大別すると「FamiLock」と「それ以外」に分かれ、玄関ドアのラインナップの内「玄関ドアDA」は「FamiLock」に対応し、「それ以外」のジエスタ2などは「システムキー,タッチキー,カザスプラスの3仕様から選択」できます。「それ以外」の3仕様の中のグレードはシステムキー>タッチキー>カザスプラスという順となっており上位仕様には下位仕様の解錠方法が含まれています。
www.lixil.co.jp

◆FamiLockの帰宅時解錠方法

  • リモコンキー(オプション):リモコンをカバンやポケットにしまっておいてもドアのボタンを押せば解錠できます。
  • カードキー:カードキーをドアにタッチすれば解錠できます。キーホルダー型タグのオプションもあります。楽天Edyカードも登録できるそうです。
  • スマホをタッチ:おサイフケータイを登録しタッチすることで解錠できます。
  • スマホによる認証:専用アプリ"My Entrance"を入れたスマホを持っているだけでドアのボタンを押すと解錠できます。

ちなみにFamiLock用のリモコンキーは14,300円です。


スマホさえポケットに入れておけばボタンを押すと解錠できるという素晴らしい機能がありますが専用アプリ"My Entrance"の評価が低すぎます。低評価の理由は大半が「接続せず解錠できない時がある」というものなのでたぶん使いモンにならんのでしょう。

◆システムキー,タッチキー,カザスプラスの帰宅時解錠方法

上でも書きましたが3仕様の中のグレードはシステムキー>タッチキー>カザスプラスという順で上位仕様には下位仕様の解錠方法が含まれています。

  • システムキー:システムキーリモコンが玄関ドアに近づくとハンズフリーで解錠されます
  • タッチキー:タッチキーをカバンやポケットにしまっておいてもドアのボタンを押せば解錠できます。
  • カザスプラス:カードキーをドアにタッチすれば解錠できます。キーホルダー型タグのオプションもあります。楽天Edyカードも登録できるそうです。
  • スマホをタッチ:おサイフケータイを登録しタッチすることで解錠できます。
  • 暗唱番号[システムキーのみ]:システムキー仕様のみ「シークレットキー」という暗唱番号キーボードのオプションがあります。

システムキーによる「ハンズフリー」解錠はなかなか魅力的です。価格差次第では導入したいところですね。
システムキーの場合、キー付リモコンタイプを選ぶと標準で3個のリモコンが付くそうです。
ちなみにシステムキーとタッチキー用のリモコンはオプション購入すると定価9,900円です。


◆帰宅時の解錠以外の機能(全仕様共通)

  • オートロック機能(オンオフ可能)
  • タイマー施錠機能(30秒)
  • リモコンのオートスリープ機能:リモコンが静止しているとスリープしドア外側のボタンで解錠できなくなる。

リモコンの登録がアプリで出来ないんだろうか?調査不足かもしれませんが。ちょっと不便な気がします。

◆独自のIoT対応

LIXIL独自のIoTシステムとしてLife Assist 2があります。
LIXILYKK APと違って住設の総合メーカーなので、Life Assist 2は様々な機器を統合し制御できるシステムとなっています。Life Assist 2から玄関ドアの解施錠も可能です。
AlexaとGoogle Homeにも対応。
玄関ドアとLife Assist2の接続はEchonet Liteを使用するようでIP/JEM-A変換アダプター又は特定のパナソニックアイホンのスマートビデオインターホンの取り付けが必要です。パナソニックのIP/JEM-A変換アダプターHF-JA2-Wが定価¥35,200。
Life Assist2を使用するにはホームデバイスという定価55,000円のハードを購入する必要がありますがサービス使用料はかかりません。
parts.lixil.co.jp

◆Echonet Lite対応

そもそも上で書いたLife Assist 2への接続もEchonet Liteなので当然Echonet Lite対応です。
Echonet Liteに対応させるには100V仕様でかつ、IP/JEM-A変換アダプター又は特定のパナソニックアイホンのスマートビデオインターホンの導入が必要です。パナソニックのIP/JEM-A変換アダプターHF-JA2-Wが定価¥35,200。

■まとめ

基本的にはYKK APLIXILともにどの玄関ドアを選んでも電気錠の仕様やオプションで「帰宅時にリモコン等を取り出さなくてもボタンだけで解錠できる」「オートロック機能がある」「Echonet Liteに対応できる」という3つの要求を満足できそうです。
YKK APの方はアプリでリモコンの登録などの管理が出来る点、LIXILはシステムキーを選べばハンズフリー解錠出来るのがグッドポイントでしょうか。
IoT化の方はIP/JEM-A変換アダプターを付ければいずれもEchonet Liteに対応させられるので、一般的には各社のHEMSコントローラを使用してIoT化した方が良さそうですね。
YKK APLIXILどちらを選んでも問題なさそうなのでドアとしての本来の性能とデザインと価格で選べばよいと思いましたが、IoT化という観点ではLIXILの方が情報が多い気がします。あとはYKK APはオプションが高い印象。。。


私はHome AssistantからEchonet Liteを介して制御できるようにしたいと思っています。
エアコンであれば実際にこんな方法あんな方法でHome AssistantからEchonet Liteを介して制御出来ていますし、シミュレータの電気錠も制御できています。
でもリアル電気錠をEchonet Liteを介してハックしている例はググっても見つけられないので、実際はセキュリティ的に接続に認証が必要だったりするのかな。
まぁEchonet Liteで電気錠を制御するのが無理だったとしても電気回路的にさほど難しくはないようで、ちっこいラズパイのGPIOと玄関ドアのコントローラを繋いでなんとかしている人もいるので、まぁなんとかなるんでしょう(笑)

それでは。